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NK細胞療法とは何か 〜がんを防ぐ新しい選択肢〜

がんという病気は、ある日突然現れるものではありません。私たちの体内では、日々の生活の中で“がんの芽”が自然に発生しています。つまり、あなたや私の体の中にはいつもがん細胞が存在するのです。その一方で、私たちの体には、こうした異常な細胞を見つけ出し、排除するための防衛機構――免疫システムが備わっています。
このシステムの機能が低下すると“がんの芽”が排除されずわずかながん細胞は増殖しがん細胞の塊となり生命を脅かす存在となります。残念ながら、今の医学ではこの段階になって初めてがんと診断されます。
私たちの体を守る「免疫システム」とは?
私たちの身体は、日々さまざまなリスクと隣り合わせで生きています。
がん細胞、風邪やインフルエンザなどのウイルス、細菌感染、外傷…。
それらから私たちを守ってくれているのが「免疫システム(免疫機構)」です。この免疫システムは大きく2つに分かれています。
①「自然免疫」:生まれつき備わっている“即応型”の警備部隊
自然免疫は、生まれつき誰にでも備わっている免疫力です。特徴は「スピード」と「広い守備範囲」。
- 異物や異常細胞を“形やパターン”で見分ける
- 訓練不要で即座に反応
- がん細胞・ウイルス感染細胞を問答無用で攻撃
この自然免疫に属する代表的な細胞が、NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)です。
NK細胞は、がん細胞やウイルス感染細胞をすばやく見つけ、すぐに攻撃する能力を持っています。
まるでまるで体内を24時間パトロールする警備部隊のように、がんやウイルスに感染した細胞をいち早く察知・即座に排除し、私たちの健康を守ってくれているのです。
②「獲得免疫」:学習し、記憶し、的確に対処する“特殊部隊”
一方、獲得免疫は、過去に出会った敵(ウイルスや細菌)を記憶し、再び出会ったときに強力に反応する免疫機構です。こちらの特徴は「精度」と「記憶力」。
- 敵の特徴(抗原)を正確に記憶
- ワクチンがこの仕組みを利用
- 再感染に対して強く・早く反応できる
獲得免疫に関わる主要な細胞には、キラーT細胞・ヘルパーT細胞・B細胞などがあります。
がん細胞が免疫から逃れようとする複雑な戦術にも、ピンポイントで攻撃できるのが獲得免疫の強みです。
その橋渡し役が「NK細胞」だった
がんに対するより強力な精密攻撃
自然免疫と獲得免疫は別々のシステムのように見えますが、実は密接に連携しています。
その連携の要(かなめ)を担っているのが、NK細胞です。彼らが破壊したがん細胞の断片やウイルス感染細胞の情報は、免疫系の司令塔である「樹状細胞」に取り込まれ、T細胞へと伝えられます。これにより、T細胞のうち、まだ敵を知らない“ナイーブT細胞”は、抗原特異的に敵を認識する“キラーT細胞”へと進化し、がんに対するより強力な精密攻撃が可能になります。
免疫システムのイメージを軍隊にたとえると…
| 免疫要素 | 役割 | たとえ |
| NK細胞 | 24時間パトロール、即時攻撃 | 警備部隊 |
| 樹状細胞 | 情報収集と司令塔 | 情報参謀・司令官 |
| B細胞 | 抗体産生(ミサイル) | ミサイル部隊(抗体攻撃) |

このように、私たちの体内では、「すぐ動く部隊」と「精密に動く部隊」が連携して敵に対応しているのです。
この緻密なネットワークがあるからこそ、私たちは日々、がんや感染症から守られているのです。
この体内の防衛システムの中核を担うNK細胞も年齢とともに活動が低下し、がんや感染症のリスクが高まることが知られています。
近年では、NK細胞の活性が低いことががん発症のリスクを高めるというエビデンスも蓄積されています。たとえば、Imaiら(2000, The Lancet)による11年間の日本人コホート研究では、NK活性が低い群においてがんの発症率が有意に高いことが報告されました。また、Tianら(2019, Cancer Immunology Research)は、大腸がん患者においてNK活性が高い群の方が無病生存期間が有意に延長していたことを明らかにしました。さらに、乳がん(Rosenbergら, 2005)や肺がん(Cocaら, 1997)においても、NK活性の低下が進行や予後不良と関連していることが示されています。
NK細胞の活性は40代以降では明らかにその機能が衰える傾向があります。ある研究では40代後半の人のNK活性を測定したところ、その値が12%しかなく、免疫年齢に換算するとなんと77歳相当という結果が出たとも言われています。こうした背景から生まれたのが、自分のNK細胞を採取・培養・活性化し、体に戻すことで免疫力を立て直す「NK細胞療法」です。

“がんの芽”が小さなうちに、「がんが見つかってから」ではなく、
「がんと診断されないように、いま守る」ための新しい選択肢として注目されています。
NK細胞療法とは?

“あなた自身の免疫細胞”で、健康を守る再生医療
La Vie clinicで行う「NK細胞療法」は、以下のような流れで進められます:
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- 採血(約50〜100mL)
- ご自分の血液からNK細胞の分離・培養・活性化(専用施設で約3週間)
- 点滴で体内へ戻す(外来で30分程度)
自分の免疫細胞を使用するため、副作用は極めて少なく、安全性の高い治療です。
このような方におすすめです
自然免疫は、生まれつき誰にでも備わっている免疫力です。特徴は「スピード」と「広い守備範囲」。
- がんを未然に防ぎたい方(一次予防)
- がんの再発が心配な方(再発予防)
- 慢性的な疲労や風邪を繰り返しやすい方
- 自己免疫力の低下を感じる方
- 健康寿命をのばしたい方・アンチエイジングに興味がある方
患者さまの声
「毎年風邪をひいていたのに、ここ数年ほとんど引かなくなった」
「体が軽くなり、疲れにくくなった気がします」
「免疫の底上げを実感しています」
生活習慣でもNK細胞は高められます
このような再生医療は、がんの再発予防や健康長寿の実現にも寄与し得る可能性を秘めています。このNK細胞療法は医療技術を用いた“再生医療”の一つですが、実は日常生活の中でもNK細胞の働きを高めることが出来ます。
十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事、そして何より“よく笑うこと”これらが、NK細胞の働きを助け、免疫年齢の若返りにつながると考えられています。特に「笑い」は医学的にも注目されており、笑うことで実際にNK細胞の数値が上がったという研究報告もあります。また、ヨーグルトなどの乳酸菌や、発酵食品、抗酸化物質(VD、VD、ポリフェノールなど)、ストレスを溜め込まないようにする工夫なども、日々の免疫力アップにつながると言われています。
とはいえ、生活習慣の工夫だけでは年齢による免疫力の低下を完全に止めることはできません。だからこそ、NK活性を定期的に測定し、自分自身の「免疫年齢」を把握することが大切です。体調に不安を感じている方や、がんの再発予防を真剣に考えている方にとって、NK細胞療法は“自分自身の免疫で自分を守る”、健康寿命を延ばすための手段として、新たな選択肢になるでしょう。
La Vie clinicでは、NK細胞の活性を測定する血液検査も行っています。
「最近免疫力が落ちている気がする」「風邪をひきやすくなった」
「がんが心配だけど、何から始めたらいいかわからない」
──そんな方は、まずは今の免疫状態を知ることから始めてみませんか?
自分の免疫で、自分を守る時代へ
がんと闘う前に、「備える」こと。
病気に追われる人生から、健康を育てる人生へ。
NK細胞療法は、そんなあなたの未来を支える、新しい選択肢です。分自身の力で病気を防ぐ時代へ。NK細胞療法は、そんな未来を支える一歩となるかもしれません。